2014年の秋、フプの森は自分たちの山を買いました。
こちらの人たちは、山林を買うことを、「山を買う」と呼びます。
決して一山買うわけではなく、どんなに小さな区画でも、「山を買う」です。
自分たちの森を持つというのはどういうことか? どんな楽しみ方があるのか?
皆さんにもぜひご紹介したいと思っています。
ある日のこと、社長モミエと亀山は難しい顔をして会議をしていました。
「今後どうする?」
「私たちの事業はどこに向かって行くの? 何がしたいんだろう。」
これまで、トドマツ精油を一生懸命売ってきたけど、私たちのやりたいことは本当に「精油を売る」ことなんだろうか。ずっと心にあった疑問です。
話し合いが煮詰まってしまったので、外に出て森のほうへ行ってみる事にしました。渓和森林公園のウッドデッキの上。夏だけど幸い虫も少なく風が心地よい。
そういえば、「フプの森」を会社として立ち上げるときもここで、4人で話し合いをしたんだっけ。
もちろん、トドマツ精油、つまり北海道モミエッセンシャルオイルはとてもよいものだし、もっと多くの人に知ってもらいたい。でも、その背景にある北海道の森林、風景、空気や、そして林業のことはそれ以上に知ってもらいたい。
トドマツ精油は、林業を行う際に使わない部分である枝葉から作られています。伐って植えて手入れして、その循環がなければトドマツ精油を作る事はできません。
そこを皆さんにもっと知ってもらうにはどうしたらよいか…
亀山はずっと前から思っていた事を口にしてみました。
「あのさ、山買う?」
とつぶやくと、そのとたんに、モミエ社長の目が輝きました。
山を買う…そのひとことに二人のもやもやしていた思いが一気に集約され解消されたような瞬間でした。
でも、山なんてどうやって買ったらいいんだろう?どこで探せるのかな…
森林組合の人や知人に相談しましたが、そう簡単にみつかるものでもないことがわかりました。気長に探そうと思っていたところ、いつもお世話になっている山持ちの知人が、
「いい山あるよ。」
と。
すぐさま飛んで行きました。
その山は夕日がとてもきれいに見える丘の上の、皆がとても好きな場所にありました。
天然林で、トドマツのほか広葉樹もたくさん生えているとても素敵な森でした。
運命の出会いとも思えます。すぐに買う事を決めました。
さて、ここでなにをしよう?なにができるだろう?
山の手入れの方法を試したい、
家を建ててハイジのように暮らしたい、
カフェをつくって音楽をやりたい、
雪中キャンプしたい、
夕日を見ながらビール飲みたい、
思いはいろいろですが、とにかく、皆が集い楽しむ場としてこの森とともに過ごしていきたい。
春の雪解けとともに滴がしたたり落ち植物の生命が満ちあふれ、
初夏、山はみずみずしく様々な色合いの若葉色に彩られる、
冬の眠りにつく前の、全生命力をだしきったような鮮やかな紅葉、
しんと静まり返り凛とした空気をただよわせるマイナス30度の冬、
そんな北海道の森の季節のうつろいや、森林や林業、森とともにある暮らしなどをこの「フプの森の森」から発信していきたいと思っています。